箱庭療法という心理療法

箱庭療法とは

 

箱庭療法とは心理療法の中のひとつであり、セラピストが見守る中で患者が箱の中に自由にミニチュアのおもちゃを入れていくというものです。心理療法では表現療法に位置づけられていますが、実際にそこで作られた作品が言語化されるケースもあるようです。しかし、原則としては、患者が自由に表現することに重要な意味があるとされています。

 

この箱庭療法は、現在では成人の治療にも使用されていますが、元来は子どものための遊戯療法から派生したものであるため、当初は主に子ども用のセラピーとして使用されていました。子供の場合は複雑な概念や言葉を構成することが困難であることが多く、どちらかと言えば遊びや象徴的な表現の中で自己表現をする方が得意であるため、非言語的な手法による治療の方が意義があるとされていたからです。

 

しかし、次第にこの箱庭療法は、子どもだけに限らず、広く精神障害を持つ患者にも使用されるようになっていったのです。箱庭療法は、1929年にイギリスの小児科医であるローエンフェルトが、子供のための心理療法として考え出したものです。それを、ユング派の心理療法家ドラ・カルフが「砂遊び療法」として発展させました。後に、日本の心理療法の第一人者でありユング派の心理療法家でもある河合隼雄氏がこれを日本に持ち込み、「箱庭療法」と名づけたのです。