箱庭療法という心理療法

河合隼雄と箱庭療法

 

河合隼雄は、ユング心理学を日本に紹介した学者として知られており、日本におけるユング心理学の第一人者とされています。そして、箱庭療法というものを日本へ初めて導入し、日本で普及させたのも河合隼雄であり、それと同時に、箱庭療法の実践と研究を数多く行っています。

 

河合隼雄は、1962年に天理大学で助教授になった後、大学の許可を得て1962年から1965年までスイスに渡り、ユング研究所において日本人として初めてユング派分析家の資格を取得しています。そして1965年には、スイスの心理学者であるドラ・カルフが、子どもやの成人の患者のためのセラピーとして使用していた箱庭療法を日本へ紹介しています。

 

河合隼雄とドラ・カルフが出会うきっかけとなったのは、ユング研究所に留学中だった河合隼雄の友人が、カルフに日本人がスイスで研究していることを告げたからであるようです。カルフと会った河合隼雄は、カルフの「砂遊び療法」を体験することになるのですが、それを見た時に、直観的に彼がかつて小学生の頃に見た「箱庭遊び」と非常に似ていると感じたそうです。

 

そして、河合隼雄はこの「砂遊び療法」が、欧米と比べて非言語的表現が多く存在する日本の文化に適していると思い、日本へ導入することを決意したのです。その際、この「砂遊び療法」の訳語として「箱庭療法」が使用され、現在に至っているのです。