箱庭療法という心理療法

箱庭療法と無意識

 

小さな砂場とも呼べるような箱庭の砂の上に、自分の好きなミニチュアのおもちゃを自由に置いて、自分だけの風景を作っていくのが箱庭療法の方法です。傍から見れば単なる子供の遊びのようにも思えますが、実はこの方法は、通常では自分がアクセスすることが不可能な無意識からのメッセージを表現してくれる稀少な方法のひとつなのです。

 

フロイトやユングが明らかにしたように、私たちの意識している記憶や知識、そして感情などは、氷山の一角に過ぎず、その下には膨大な無意識が眠っているのです。私たちはその膨大な無意識にアクセスすることはせずに日々の生活を暮らしているわけであり、通常では無意識からの記憶や知識などは、意識の中に上ることはないのです。

 

しかし、箱庭療法はその膨大な無意識というものを垣間見るきっかけを作ってくれるものなのです。この箱庭療法は、ヨーロッパにおいてユング心理学をベースとして発展してきたものです。この方法において、セラピストからの自然で適切な質問に答えるうちに、自身では気づかなかった感情や、自分の中に存在するもうひとりの自分が現れたり、今この時に、自分が何をすべきなのかといったことなどが、自身の意識の中に上って来ることもあります。

 

そして、箱庭に風景を作るという作業によって、自身の無意識の中に埋没している膨大な記憶や知識、そして隠されてきた感情などが開放されていくため、非常に深いレベルでの癒しを得ることにもなるのです。